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室井佑月 講演会講師インタビュー

波乱万丈、身ひとつで成り上がりという言葉が浮かぶ作家の室井佑月さん。ミス栃木、モデル、女優、レースクイーン、高級クラブのホステスなどの職業を経た後、97年に「小説新潮」の「読者による『性の小説』」に入選し、作家活動をスタート。2000年に出産。01年に離婚。最近では、「ひるおび!」(TBS)などでコメンテーターとしても活躍。政治からエロまでを率直に語るキャラクターで独自の地位を得る。
講演活動では、母として、仕事人として、リスナーと悩みを共有しながら対話するスタイルが好評…と、誰もが羨む華やかな経歴の持ち主である。
しかし、この華やかな経歴の裏には、母との生活を支えるためにアルバイトをいくつも掛け持ちして生活費を稼いだ経験や、身を削って小説を書きあげた経験がある。母として作家として全力疾走を続ける室井さんに、講演活動にかける思いや、仕事のこと、子どものことを伺った。

(text:中西奈津子、photo:小山幸彦)

誰かに必要とされたい

室井佑月──室井さんにとって「仕事」とは?

 

室井佑月:仕事って生きがいでもあるし、生活費を稼ぐ手段でもあります。すごく生きがいだなぁって思うのは、必要とされていると感じたとき。
実は私、全然自分に自信がないんです。誰かに必要とされていないと自分の輪郭が見えてこなくって、生きていくのも嫌になっちゃう。息子の母親という役割はあるけど、私は誰かの奥さんであることも失敗しちゃったし。だから、私は家族の生活を守るために働いて、必要とされる自分でいたいんです。

 

──仕事をする時に心がけていることは?

 

室井佑月:ギャラ以上の働きをすることを心がけています。やっぱり室井に頼んで良かったなと言ってもらえる原稿を書かなきゃと。
また、会社に勤めている方の場合、「○○会社の誰々さん」と言われるよりも、「何々ができる誰々さん」と言われた方がいいと思います。
今の時代、大企業でも倒産する可能性はあるし、会社に勤めている以上、いいことも嫌なことも会社内で起きるでしょ?そうすると、周りは同じ会社の人ばかりだから「○○会社に勤めている」というのがその人の自信の根源だと、ちょっとツライ気がします。

 

──「何ができるのか」を考えて働いた方がいいということですか?

 

室井佑月:もちろん、給料以上の働きを見せることも大事だけど、例えば、急な接待の時、適切なお店をすぐに予約できるとか、風邪気味の人に「大丈夫ですか」ってさりげなく声をかける心づかいなども、その人の特性だと思うし、そういう特性も仕事をやる上で大事だと思います。
他にも「何ができるか」だけじゃなく、「何が好きなのか」というのも意外と大事で。苦手なことをずっと続けていると、やっぱり時間も長く感じるしツライですよね。だから、できるだけ好きなことを続けてお金になるっていうのが一番いいと思います。

 

 

 

生活のために働く姿は美しい

──好きなことを見つけられない人もいますよね?

 

室井佑月:でも、それを見つけるのが一番大事なことなんじゃないかなと思います。自分は何が好きで何がやりたいのかを細かく考えて探した方が、生きていくときにツライことを少なくできると思う。

 

──仕事が好きじゃないと気づいたら、辞めた方がいいですか?

 

室井佑月室井佑月:そんなことないと思います。仕事は生きがいでもあるけど、生活のために働くってことも間違いじゃないって思うから。
私はサラリーマンのおじさんが子どもや奥さんの生活を守るために嫌だけど働くっていう姿は美しいって思うもの。大切な物の順位が違うだけじゃないかな?
ただ、仕事も好きじゃなくて、家族を支えることも大切じゃなければ、「こいつら食わせていくために、やりたくもない仕事をやって…」って、すごくツライ人生になってしまいますよね?家族を養っていることにプライドや生きがいを持てばいいんだけど。心の持ち方次第なんだけど。

 

──心の持ち方を変えるにはどうしたらいいんですか?

 

室井佑月:自分自身と会話することですね。何が大切で何が楽しいかって人に聞いてもダメだと思うんですよね。
仕事も嫌で家族の生活を支えることにもプライドを持てなかったら、ホントに会社なんて辞めちゃって、ひとりで食べられる分だけ働いて、安アパートでゴロゴロしながら雑誌を読んでいてもいいじゃないですか。それがその人にとって幸せな時間なら。
何が大切なのかは人それぞれだから、本人が考えないと。

 

──上手な時間の使い方、作り方を教えてください。

 

室井佑月:優先順位を決めることですね。私の場合、人生の優先順位は、息子、自分という順番だけど、今日一日の優先順位もある。たぶん、仕事や家事がキチンとできなくて悩んでいる人は全部やろうとしているから悩むのかもしれないですね。何が大切かを考えて、それができれば、あとはできなくてもOKみたいな。それくらいゆるくないと。
私も、やりたいことを欲張り気味にガーっとやってきて、一時期ウツっぽい時もあったんです。当時は、やる事をちゃんとやらないと寝ないって決めていて、徹夜が続いちゃって。若い時期って自分で決めたことを全部こなしたいと思うだろうし、こなすと自信につながるって思っちゃうんですよね。だけど、ある時、別に、今日掃除しなくたって死ぬわけじゃない、まずは、睡眠時間だって思ったんです。

 

──仕事が嫌になった時の対処法は?

 

室井佑月:私の場合は、1回お酒を飲んで寝ることですね。お酒を飲むと、「もう仕事終わり」って思えるから。リセット方法のひとつなんです。私の場合はお酒だけど、散歩したらリセットできるという人もいるだろうし、人それぞれのリセット方法を見つけるといいと思います。人に話すというのも効果的ですね。人に話せば、いったん落ち着くから。

 

──作家じゃなかったら何をやっていましたか?

 

室井佑月:なんだろう。でも、息子がいなかったら私は死んでいると思う。息子は私がいないと生活できないように見えるけど、実は逆で、息子がいないと私が生活できないんだと思います。
自分の生活が母親になってから変わっちゃったんですよね。朝ちゃんと起きるようになったし、三食作るようになったし、仕事でケンカも少なくなったし(笑)。以前は、全てを失ってもよかったけど、今は息子との生活が何よりも大事で、それを守るためには我慢できるし、1分1秒でも長く生きたいと思っています。

 

 

 

 

 

 

私、言葉を信用していないんです

──お子さんが今9歳ということですが、室井流の子育てとは?

 

室井佑月:息子の健康に対しては気遣っています。病気になったらすぐに病院に連れていくし。食事についてもスーパーで旬の物を選んだり、栄養のバランスを考えたり、お味噌汁も煮干し等でダシをとったり。
私、言葉で伝えるのはすごく下手だから、ちゃんと手間をかけて育てているってことで(愛情を)わかってもらいたいと思うんです。

 

──気持ちは伝えた方がいい?

 

室井佑月室井佑月:相手を自分自身よりも大事に思っているということが、伝わっていれば言葉である必要はないと思います。
私、言葉を仕事にしている分、言葉を信用していないんです。言葉ってウソをつけるから。「愛してる」って言う時って、「愛してる」って返されたい時とか、そう言わないと自分の気持ちが確認できない時だと思うの。だから、言葉が大事だとは全然思わないんです。むしろ、ボケっとしながら、2人でどこか1ヵ所、肩とか足とかをくっつけながら、違う本を読んでたりする時間が大事なんだと思います。

 

──子育てに必要なことは?

 

室井佑月:子どもにとっては穏やかな安定した生活だと思います。親にとっては、それを提供すること。それはお金を稼ぐことではないんです。アパート一間で家にお風呂がない生活でも、週2回、銭湯に行くことが決まっている。そういうのは落ち着いた生活ですよね。逆に、ころころと環境が変わるのはよくないと思います。

 

──「子どものためには父親が必要だ」と言う人もいますが…?

 

室井佑月:それは、ウソだと思います。父親がほしいのではなく、父親の収入で安定した生活を手に入れたいんでしょう。でも、貧困率が高いのは母子家庭だし、生活の安定のために結婚するって考える人がいても間違いではないと思います。

 

 

 

子どもは宝物

──子どもとの関係で大切にしてることは?

 

室井佑月:母親が一家のイメージって決めちゃうと思うんですね。だから、私もなるべく笑っているようにしています。あとは親の義務として、息子が社会に出た時にちゃんとした大人になっているように、基本的な社会ルールや道徳は教えるようにしています。

 

──どんな子どもに育てたいですか?

 

室井佑月:頭もよくて、顔も可愛くて、性格もやさしかったら最高だけど、普通でいい。普通の中で、自分で幸せを見つけられたらいいなと思う。男の子なので、将来、働く時間が長くなる可能性が高いから、好きな仕事についてもらいたいって思います。

 

──室井さんにとって、子どもとはどういう存在ですか?

 

室井佑月:宝物。自分自身よりも大事。でも、この男もどうせあたしを捨てるから(笑)。でも、私が離れられないの。

 

 

 

「救われた」って思ってくれるといいな

──ところで、室井さんの講演会はリスナーとの対話の時間を多く取っていると聞きますが、どんなことをお話しされるんですか?

 

室井佑月:講演で質問してくれる人がいたら、その人のことを一所懸命考えます。私は何の専門家でもないから、話をしたい人がいたら、それに乗って共感してあげることが私の役目だと思うんです。
例えば「死にたい」っていう人がいたら「私もよくそう思う」って返します。「生きていればツライことも多々あるし、死ぬ方法も色々考えたんだけど、キレイな死に方って難しい。死ぬのも意外と大変だ」って、そう伝えます。
「こうするべきだ」みたいなことは絶対に言いません。どっちかっていうと私の方が間違っているんじゃないかと思うから。子育ての話でも「私はこういう風にしている」と話せば、自分はまだマシだと思う人もいるかもしれないし、その程度のことなんです。

 

──講演会では、どんなことを伝えたいですか?

 

室井佑月:テーマが仕事についての講演だったら、(好きなことを仕事にしているのは一握りのラッキーな人だと思うから、)「子どもに食べさせるために働いてるってだけでも立派だと思う」といったことを伝えたいと思います。
自分の居場所を探し続けている人、迷っている人と話したい。何人かでも「救われた」って思ってくれるといいなと思いますね。「まぁ、室井佑月みたいな奴もいるんだからさ」って。

 

 

 

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