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渡辺広明 講演会講師インタビュー

コンビニ大手「ローソン」、美容系メーカーなどで約780アイテムの商品開発を行った経験から、コンビニ評論家、流通、マーケティング、消費経済と各分野のアナリストなど、様々な肩書を持つ渡辺広明さん。最近もローソンのスイーツブランド「ウチカフェ」やドン・キホーテの情熱価格「有機むき栗」などの商品開発に携わり、テレビやラジオなどのメディア出演、大学の教員、企業の顧問など、多岐に渡る活動を行っていて、今もビジネスのベースは現場という。講演依頼のSpeakers.jpでも人気講師で、講演会でも大好評の 渡辺広明さんにご自身の半生とビジネス、日本経済の最新情報を聞いた――。


(text:高田晶子、photo:遠藤貴也)

約780アイテムを世に送り出したトップバイヤー ヒットメーカーの経歴とは

――渡辺さんは静岡県浜松市ご出身、大学で東京に上京され、新卒でローソンに勤められていました。これまでのキャリアの流れを教えていただけますか。

 

 

渡辺広明 私が就職したのは1990年。ちょうどバブル期だったので、どこにでも就職できた時代でした。そんな中、コンビニに就職したものだから、親には「せっかく大学まで出したのに、24時間で深夜営業もある“水商売”のコンビニに行くのか」と非難されました。一応「いやいや、(当時)ローソンはダイエーの子会社なんだよ」と説明して、親戚にはダイエーに就職したということになっていました(笑)。昔はコンビニで働くことが褒められたものではなかったのです。

 

 

――そもそも、なぜローソンを選んだのでしょうか。

 

 

渡辺広明 『男女7人夏物語』のような、トレンディドラマみたいな都会の生活に憧れていたんです(笑)。仕事が終わって、プールバーに行って、キラキラした青春を思い描いていました。だから、東京にいられるなら仕事は何でもよくて、「なんとなく選んだ」というのが正直なところです。

 

――新卒で入社されると、最初は店舗勤務ですか?

 

 

渡辺広明 そうです。横浜で店長をしていました。「半年で本社に配属するから」と言われていましたし、ほとんどの社員が半年~1年でスーパーバイザーになって本社での仕事にステップアップするのですが、私は結局3年半店舗にいました。
当時は私が一人で3店舗を見なくてはならないほどひどい人手不足。アルバイトの人たちにすごく助けていただきました。とにかく休みなく働いて、仕事もかなりできるようになり、店長が天職だと思っていました。現場が好きだった分、「現場のこともわかっていないようなのに、なぜ指示されなきゃいけないんだ」と机上の空論ばかりを言う本社の人間が嫌いでした。
私が反抗的なので、「とりあえず一度スーパーバイザーをやってみろ」と異動する流れになったのですが、私はずっと現場にいたいと思っていた。でも、そんな私を見かねたパートの女性達やアルバイトの大学生たちが「渡辺さん、そんなに意固地にならずに、スーパーバイザーやってみたら?」と後押ししてくれたことで、スーパーバイザーをやることになりました。

 

 

――スーパーバイザーという仕事の内容は?

 

 

渡辺広明 6~7店舗を管轄して、経営指導をする仕事です。各店舗を見ながら、本部の施策をきちんと伝えていくのが役目です。週1回は本社から新商品やシステムの変更などの説明を受けるのですが、私はアルバイトのみんなから後押しを受けているのでやる気満々、毎回一番前の席に座って質問をしていたんです。そして「こんな商品は売れないと思いますよ」などと失礼な事を言っていたら、「それなら本社の商品部で仕入の仕事をやってみろ」ということになりました。

 

 

――そこでバイヤーになるんですね。

 

 

渡辺広明 本社に行くと、上司は大体親会社のダイエーからの出向組。「24時間現場で働いたこともない人達に負けない」と必死で仕事を片づけていったら、仕事ができるようになっていきました。バイヤーになって3年目くらいには、色々な商品を扱ったり、売り上げを上げたり、結果も伴ってきました。

 

 

――ヒット商品は?

 

 

渡辺広明 最初のヒット商品はミニテトリスです。日本で600万個ほど売れたうちの100万個は、ローソンで扱いました。それまでコンビニで売られている玩具は、ビー玉やトランプ、花札くらいしかありませんでした。なぜかコンビニでは1000円以上の玩具を売ってはいけないという不文律があったのですが、1980円のミニテトリスが爆発的に売れました。
その次に、当時たまごっちが社会現象になる直前のヒットの予感を感じ、たまごっちが新発売になり、市場では3万6千個が即完売。これはすごいぞとなって、2回目のたまごっちの生産が決まったのを聞きつけ、バンダイと交渉し、36万個発売のうち6万6千個をローソンで仕入れ、売上アップに貢献しました。
それから、親会社のダイエーの子会社から「博品館で自社開発したポケモンのカードが、売れ始めているので、ローソンでも取り扱いすべし」と指令か降りてきて、私も「ピカチュウ?ゼニガメ?いったい何だ?」というレベルでまったく分からなかったのですが、とにかくやってみたら、これもまた大ヒットの最初の波に乗ることが出来た。

 

 

――玩具メインのバイヤーだったのですか?

 

 

渡辺広明 いえいえ、いろいろとやりましたよ。ローソンに勤務していた22年間のうち、16年間はバイヤーをしていて、その後のメーカー勤務や独立後も含めて、コンビニで取り扱うあらゆるカテゴリーの商品、約780アイテムを世に出すことに携わっています。札幌に3年間いたときには山崎製パンさんとパンやスイーツのコラボ商品を作っていましたし、札幌から東京に戻ってからは化粧品やシャンプー、入浴剤、ティッシュなどの日用雑貨などの商品開発も担当していました。

 

 

――“面白い商品を開発するバイヤー”としてマスコミから取材を受けだすのも、その辺りからですか?

 

 

渡辺広明 そうですね。一番取材が殺到したのが、杉本彩さんとコラボした『野獣風呂』という黒色の入浴剤を作ったときでしたね。

 

 

コンビニビジネスを世界に――。日本のコンビニは世界最強のリアル小売業

――ローソン退社後は、(株)ポーラ子会社の(株)pdcやTBCグループ(株)で働き、その後はメディア出演などご自身で主体的に活動されています。

 

 

渡辺広明 会社員時代からビジネスの現場で得た知識と経験をもとにビジネス雑誌での連載やラジオ出演などの仕事が舞い込み、仕事の幅が広がっていきました。そこで自分で会社を立ち上げることに。その後はサイバー大学で教員、慶応義塾大学や早稲田大学ビジネススクール、芝浦工業大学などの招聘講師、ラオスに小学校の校舎を建ててボランティアをするなどもしています。
転機といえば『ホンマでっか⁉TV』(フジテレビ)に出演したことでしょうか。評論家の先生方は大学教授や研究員、法律の専門家などが多いのですが、実際に会社員としてビジネスに触れた経験がない方が多い。そこで、先生方から私にビジネスの相談が来るようにもなりました。これまで30回弱出演していますが、この番組がきっかけで『FNN Live Newsα』(フジテレビ)のニュース解説員もさせていただけるようになりました。

 

 

――仕事が仕事を呼ぶ状況ですね。

 

 

渡辺広明 実は私、これまでの人生で何かに熱中した経験がなかったんです。部活もやっていなかったし、勉強も熱心ではなかったし、だからといってグレたりもしなかった。ローソンでの仕事は一生懸命やりましたが、それは会社の指令であって、自分から主体的に動いて取ってきた仕事ではない。今『FNN Live Newsα』の仕事は、自分で現場に出向き、常にアンテナを張り、人生で初めて向き合ってしっかりやっているとも言えます。

 

 

――渡辺さんの肩書はコンビニ評論家、流通アナリスト、マーケティングアナリスト、消費経済アナリストと変化していきますね。

 

 

渡辺広明 知識と経験が広がっていくごとに、肩書も変えていきました。今は主に「消費経済アナリスト」と名乗っていますが、経済アナリストの馬渕磨理子さんと『馬渕・渡辺の♯ビジトピ』(TOKYO FM)というラジオ番組をやるようになって、経済に詳しくなりました。国の豊かさを示すGDPは、55%が個人消費です。これって私が会社員時代にやっていた泥臭い現場の話や商品開発とも深く関係している話ですよね。今は消費と経済の関係性を追求しているところです。

 

 

――すごい経歴ですよね。

 

 

渡辺広明 もともと賢いエリートだったわけじゃなくて、私のような一般人でもこれくらい仕事に関わらせてもらえるって、夢がありますよね(笑)。しかも、私はすごくラッキーだったんです。車や家電などのJAPANブランドがどんどん落ちていき、日本の産業が伸び悩むなか、たまたま入ったコンビニ業界はこの30年日本経済が落ちていく中、最初の15年は伸びていく分野だったからです。

日本のコンビニは世界最強のリアル小売業です。日本の3大コンビニでは、それぞれ1週間で約100アイテムの新商品が発売され、そのうち約6割は自社で開発したプライべートブランド商品です。店舗には平均で常に3000~3500アイテムが揃っており、そのうち7割が1年入れ替わります。 そんな売り場が日本全国にあり、24時間いつでも営業しているなんて、世界のどこを探してもありません。これからの日本が世界に対抗できるのは、外食や観光などもあるかもしれませんが、私はこのコンビニビジネスの仕組みやノウハウなんじゃないかと思っています。

 

 

――日本にも誇るべき産業があるというのは、自信にもなりますね。

 

 

渡辺広明 先日も、キルギスやカザフスタンの人から日本のコンビニの仕組みについて、質問攻めにあいました。もちろん中国の人からは何度も話をしてくれと要請されています。世界に必要とされているビジネスなんですよ。日本人同士でビジネスの話をしていると、景気も悪いせいか暗い話にばかりなるのですが、海外の人からすると、日本には「いいね」「すごいね」と褒められるような事例がたくさんある。私も日本が元気になるような話をどんどんしていきたいですね。

 

 

――他にも海外の方が真似したくなるような日本の良いところとは?

 

 

渡辺広明 米などの農産物や日本酒、和牛などは評価が高いですね。日本人は自分たちの魅力に気が付いてないんですよね。外食産業も海外から注目されていて、日本人が知らない店に外国人が長蛇の列を作っているケースも多々あります。
ひとつ例を挙げると、大手外資ホテルグループのマリオットが道の駅、25県に進出し宿泊地を建設しているんです。日本の大手ホテルグループは東京、大阪、京都、札幌、福岡などの主要都市しか重視していなかったのですが、外資企業が地方の需要にいち早く気付いて、先に道の駅を抑えた。SNSなどできちんと最新情報をチェックして把握しておかないと、日本のいいところは外国に取られてしまいますよね。

 

 

私の講演会は“楽屋話”が盛りだくさん  少しでも気付きを得てもらえれば

――渡辺さんが講演会を聴講する人に伝えたいこととは?

 

 

渡辺広明 とにかく日本が元気になってほしいということはありますが、なんとなくの空気や雰囲気で決めないでほしい、ロジカルに数字で判断してほしいということを重視してお伝えしています。細かいデータやグラフを読み解いてほしいのではなく、数字を見て、自分自身で考える力や判断する力を養ってほしい。例えば、日本の食料自給率は38%、エネルギー自給率は11%です。数字で現実が見えてくると思うので、私の講演会ではなるべく覚えてほしい数字は言うようにしています。

私は話すことが好きだし伝えたいことがたくさんあるので、講演会ではいろいろな話をします。ただ、私の言うことがすべて正しいわけではありません。「私が全部正しいから聞いてくれ」とはちっとも思っていなくて、「こいつ、10コ言ううちの9コは納得いかないけど、1コはいいこと言っていたな」でもいいので、少しでも気付きを得ていただければと思います。これはテレビでもラジオでも同じで、何かの気付きを得てほしいという一心でお話しています。気付きがあれば、何か変われるかもしれないじゃないですか。

 

 

――今年から来年にかけての日本経済の展望もお聞かせください。

 

 

渡辺広明 とにかく働いている方々の賃金が上がるかどうかでしょうね。バブル崩壊後に大手銀行が潰れるなどして、企業はお金を外に出さずに内部留保に回しました。また、平成はプロ経営者が台頭して、自分だけ儲けて、従業員の給料は下げる、リストラすることも流行りました。年収が300~400万円しかもらえないのなら、節約するしかないのは当然で、どんどんお金を使わなくなりますよね。とにかく経済を回すためには、企業が賃金を上げることが重要です。しかも、誰が持っているかはわかりませんが、実は日本の個人金融資産は2141兆円あり、その半分が現金、現預金です。お金を持っている人はそれを使って、経済を回してほしいですね。

 

 

――円安も手伝って、今はインバウンド需要もありますよね。

 

 

渡辺広明 岸田政権がインバウンドを世界一になるような施策を打てるか注視していかなければなりません。コロナ前は国際観光客到着数1位はフランスで、年間9000万人超。日本は12位で、年間3188万人ほどですが、このペースでいくと恐らく5~6位には入れるんじゃないかと予測しています。ただ、1位は目指さずに6000万人くらいでいいと諦めるのも違う。先述しましたが、日本人は自分たちの魅力に気が付かなさすぎなんです。もっともっと海外から人を呼び込める可能性が高い観光資源国である自覚を持つべきだと思います。

 

 

――他の国内産業も元気になってほしいですね。

 

 

渡辺広明 2029年には大阪万博跡地にカジノを中心とするIR(統合型リゾート)が開業する予定ですが、それだって海外の企業が参入して、純国産企業の運営ではない。とにかく外資ばかりにお金が回るのが嫌なので、私はなるべく日本製の服を着るようにしています。私が就職したばかりの1990年ころは、日本人が着ている服の5割くらいは日本製だったんですよ。でも、今は日本製の服は1,5%しかない。ほとんどが中国製です。少しでも国内産業が豊かになり、賃金が上がればと思って、日本製にこだわるようにしています。

 

 

――最後に、渡辺さんの講演会に興味のある方にメッセージをお願いします。

 

 

渡辺広明 私のことをテレビやラジオで見て知ってくれている方は、私を真面目で怖い人だと思う方が実は多いんです。でも、「講演会の渡辺さんのほうが気さくで砕けていて、圧倒的に面白い」とよく言われています。それは、言ってはいけないような話、要は面白い楽屋話を講演会では話すからなんですね。ですから、ぜひ直に私の話を聞きに来ていただきたいと思っています。どうぞよろしくお願い致します!(笑)

 

 

――ありがとうございました。今後に期待しています!

 

 

 

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