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【著書紹介】よしもとばなな氏『人生の旅をゆく2』

2014.03.01

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Speakersでは、講演でも活躍している様々なジャンルの方々の著書をご案内し、
本の中身や著者の魅力をご紹介して、講演のご希望があれば、ベストマッチングとなる
ご提案をしております。
ぜひ、このコラムをご覧になり、講演の講師選びの一助としてください。

 

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震がもたらした東日本大震災、
いわゆる「3.11」が戦後最大の国難といわれる所以は、地震の揺れによる家屋の損傷よりも、
圧倒的質量で襲い掛かってきた津波による被害と、福島第一原発の爆発事故による
かつてない深刻な放射線被害の規模に、我々は為す術がなかったからです。

 

1995年の阪神淡路大震災の教訓を生かして、住宅の耐震化は一気に進みました。

 

技術も進歩し、建築基準法の改正など法制度も整備され、大地震に対する対策も
万全になりましたが、そして生まれた耐震住宅なのに、津波にはまったくの無力で、
あっという間に呑み込まれ、何棟も何棟もグシャグシャにつぶされていく様は、
どうしようもない無力感につつまれたものです。

 

さらに、想定外の津波被害で発電所自体が停電し、それにより原子炉の冷却が不能となり、
福島第一原発は爆発。日本は、世界でも例を見ない放射能漏れによる被害に見舞われ、
多くの地域住民が、住む家も土地も追われました。

 

そんな「3.11」から、もうすぐ3年目を迎えます。
その震災と向き合い、復興にむけて大事なことは、一人ひとりが変わることであるとして、
作家・よしもとばなな氏が、翌2012年11月に

 

エッセイ集『人生の旅をゆく2』(NHK出版)

 

を上梓しました。

 

本書は、様々なメディアに寄稿した作品を寄せ集めたもので、東京に居ながら地震被害で
感じたかつてない不安と恐怖や、家族を亡くした人たちへの思いをはじめ、日々の生活で起きた
様々な出来事や、母親として、そして『共同幻想論』などの著者である批評家・吉本隆明の娘(次女)
として感じてきたことを、よしもと氏ならではの、感受性あふれる筆致で表されています。

 

震災が起こる一月前に死んだ愛犬や、放射性物質を避けること、節電による暗い部屋の中で
考えた様々なことに「なにがなんだかわからなくなってきた」よしもと氏でしたが、
「自分にとってはどうなのか」そこを軸にして考えることが人を思いやることに通じるという
基本に立ち戻ることができたのはよかった、としています。

 

そして、当時の自分には、昨日のことを思い返すだけで、とてつもない幸せに満たされ、
以前は大嫌いだった東京・渋谷のスクランブル交差点や混み混みのデパートの中でも、
なんとなくあったかい幸せを感じることがあるようになったとも。

 

さらに、幸せのハードルを下げておいたほうが、幸せなことが増えていいという友人の言葉に反応し、
自分自身の幸せのハードルが下がっていることに気づきます。
あたりまえのいつものことが、どんなに幸せでありがたく、生き生きとしたことであるのかを
語りつくせない。日常とはほんとうにすばらしいかけがいのないものであることを知ったのです。

 

電話も通じなくなり、メールとツイッターで身近な人たちの安否を確認するも、
そのメールもすぐにつうじなくなったと。その後、無事に家族と再会するも、
連絡がとれないあいだに、自分の中に家族の大切さがどんどんしみこんでいった気がする
というよしもと氏。

 

しかし、心にも大きな傷が残りました。

 

黒く四角い箱が何個も並んで、2個目の箱にモヤがとりついているが、それは原発であるという
夢を何度も見るようになり、「福島第一原発が死にかけている」と感じながらも、
電機の恩恵を受けていることに葛藤。

 

そして、どんなに時間がかかっても代替エネルギーに切り替えていくべきであり、
人類は新しい未来にむけていくべきであるとしています。

 

テレビで何度も流される津波被害の映像に「あの中に人がいるんだ」と、そのたびに
心痛めずにはいられなかったよしもと氏。
流された瓦礫の中には、家やクルマに混じって、多くの人がいます。
その映像を見ながら、震災の翌年、2012年3月に87歳で亡くなった父・吉本隆明氏が
70歳を過ぎて海で溺れ、一命を取り留めたものの、その後は重篤な後遺症に悩まされた体験と
重ね合わせてしまうとしています。

 

その体験が、家族や津波被害に遭い、傷を負いながらも戻ってきた人、遺体となって見つかった人、
見つからないままの人の気持ちとオーバーラップし、それぞれの人の様々なドラマを、
同じ浜に立つたびに感じずにはいられなくなったとも。
残されたものは、それでも生きていかねばならず、その光景を思い出すたびに、強く想起されるのは、
命のありがたさ、生かされていることへの感謝、そして家族や大事な仲間と確かな絆を持つことへの
喜びであると。

 

そんなよしもと氏の思いが込められた数々の言葉は、東日本大震災の被災者だけでなく、
喜びや悲しみと向き合いながら、強く生きて生きたいと願っている人にとって、『人生の―』は、
大きな慰めと励ましとなり、共感、良い意味での諦念などを与えてくれるのです。

 

Speakersでは、本の内容のさらなる詳しい話をお聞きになりたい方や、関連したジャンルの講義を
聴きたい方のために、講師として、よしもと氏をはじめ様々な専門家にアプローチをして、
講演のマッチングをしています。

 

『人生の―』をお読みになった方で、よしもと氏のファンになりぜひ会いたい、本に書かれていない話が
聞きたい方をはじめ、よしもと氏に直接質問してみたい方など、お気軽にお問い合わせください。

 

さらに、震災復興、家族、人生、絆といったテーマの講師をお探しなら、よしもとばなな氏をはじめ、
阪神淡路大震災を経験した喜味家たまご氏や、同震災をつぶさに現場レポートした東海林のり子氏、
さらにスマトラ沖地震により祖国・スリランカが大きく被災した経験を持つにしゃんた氏といった
講師がオススメです。

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