Speakersでは、講演でも活躍している様々なジャンルの方々の著書をご案内し、
本の中身や著者の魅力をご紹介して、講演のご希望があれば、ベストマッチングとなる
ご提案をしております。
ぜひ、このコラムをご覧になり、講演の講師選びの一助としてください。
私は現在53歳で、人一倍、健康への関心が高い年齢であるため、日々情報収集に余念がありません。
特に、糖尿病に関しては敏感です。未だ、糖尿病には罹患していませんが、我が家は、
糖尿病になりやすい家系であるため、発症の可能性が極めて高いからです。
現に父は糖尿病が原因で、10種類以上の余病・合併症を併発し、病に苛まれながら
亡くなりました。祖母も糖尿病であったし、祖父は合併症からくる腎不全が原因で亡くなりました。
叔父も合併症で腎臓がんになり、現在「片腎」で、透析治療を行う日々です。
父が糖尿病を発症したのは、50歳を過ぎたあたりでした。つまり、私も糖尿病のお迎えが
やってくる歳になっており、それなりに切迫感を抱いていました。
そんななか、昨年5月中旬に、書店で
『糖尿病はご飯よりステーキを食べなさい』 (牧田善二著、講談社プラスアルファ新書 2010年2月)
という本に出会いました。
著者の牧田善二氏は、糖尿病専門医であり、AGE牧田クリニック院長として、糖尿病や
糖尿病合併症の治療にあたっています。
玄米の大量摂取は、白米のドカ食いと同じ
奇抜なタイトルに惹かれて手に取ってページをめくっていくと、以下に抜粋した衝撃的な言葉が
目に飛び込んできたのです。
「玄米であろうと白米であろうと、炭水化物である以上同じように血糖値は上がる。
玄米のほうが繊維質やミネラルが豊富なぶん、白米よりも体にいいのはたしかだろう。
でも、血糖値に関して言えば全く違いはない」
さらに、
「『玄米は体にいいから積極的に摂ろう』『色の濃い田舎そばを選ぶようにしよう』と
よかれと思って食べていたら、糖尿病が悪化したなどということが起こり得るのだ」
このくだりは衝撃的でした。なぜなら、それまでの2年間は「玄米派」であったからです。
巷には数々の”玄米食礼賛本”があり、それを実践してわけです。
しかし、以前から「玄米の中身は白米。玄米をバクバク食うのは、白米をドカ食いするのと
同じじゃないの」と疑問に思っていたのも事実です。「コーティングされている糠や胚芽が、
白米のダメなところを中和するのかな?」などと、自分勝手な思い込みをしながらも、
モヤモヤした感情を抱いていました。
そんな、玄米は万能食であると信じて疑わなかった私にとって、「糖尿病が悪化」という言葉は、
衝撃とともに、ちょっとした涼風でもありました。「疑問に思っていた通り!やっと腑に
落ちた!」と、長年の憑き物が取れたさわやかな気持ちになれたのです。
もちろん、これだけはありません。
「『糖尿病の気(け)があるから注意してね』(中略)。しかし、これはズバリ、
『あなたは糖尿病です』と言われたのだと認識していただきたい」
「境界型(糖尿病ステージ1)のことを、俗に『糖尿病予備軍』などという呼び方をするのが、
そもそもの誤解のもとである。予備軍というのは『正常者の中にいる一部の人たち』という
ニュアンスが感じられる。そうではなくて『糖尿病の中の一部の人たち』と表現するほうが
正しいのである」
「こと糖尿病に関しては、『和食は健康食』の見解をそのまま受け入れるわけにはいかない。
血糖値を左右するのは、カロリーではなく炭水化物だ。米をぎゅっと握った寿司は
炭水化物のかたまりであり、そばもお茶漬けも炭水化物そのもの。天ぷらの衣も血糖値を
上げる元凶となる」
などなど、「わが意を得たり!」のオンパレードでした。
さらに、「メロンパンは悪魔の食べ物」とあります。1個でお茶碗のごはん3~4杯分の糖質を
含むメロンパンは、糖尿病患者の大敵です。
人気アニメ『それいけ!アンパンマン』のヒロイン・メロンパンナちゃんは、糖尿病患者にとって、
悪役のドキンちゃんよりも、怖い存在なのです。ホント、女の子は見かけによりません(笑)。
糖が作り出すAGEの恐ろしさを認識
改めて得た重要な知識・情報として、合併症の主犯格と言われる、
AGE(Advanced Glycation End-products=終末糖化産物)の恐ろしさがあげられます。
牧田氏の病院名にも冠してあるAGEは、ブドウ糖がコラーゲンなどのタンパク質と
結合してできる化合物です。簡単にいえば、AGEが架橋形成された血管では、弾力性を
形成するコラーゲンをAGEが食べてしまうので、血管がぼろぼろになります。
そうなってはまずいので、マクロファージ細胞というものがAGEを食べてくれるのです。
しかし、AGEだけではなく、そこにあるコラーゲンまで食べてしまう。それを補うために、
マクロファージ細胞は増殖因子という物質を出し、新たなコラーゲンを作りだします。
しかし、増殖因子が生成したコラーゲンが過剰になって溜まり、腎臓の基底膜を破壊し、
尿タンパクが検出。最終的には糖尿病腎症になるのです。
祖父や叔父は、まさにこの流れで、腎臓障害を起こしたわけです。糖尿病が腎機能を
悪化させることは、多くの人が知っています。しかし、AGEが及ぼす影響もメカニズムを
きちんと知っている人は少なく、病気の原因を知ることで、治療の方向性がはっきりするのです。
さらに衝撃だったのが、「AGEはパーキンソン病にも関わっているようである」の部分。
父の余病のひとつがパーキンソン病であったため、このくだりを読んだときは、
今まで以上に目からうろこが落ちた瞬間でした。
ダイエットにも絶大の効果あり。しかし…
確信と恐怖心を抱きながら、さっそく糖質制限を実行。とりあえず食事から、ごはんとパスタ類、
お菓子をはじめとする甘いものを除いてみました。
すると、まず疲労・倦怠感がなくなり、寝起きもよくなりました。さらに、何十年にもわたって
悩まされてきた脂肪肝も一気に完治し、健全な肝臓に戻りました。余分に溜まった内臓脂肪を
エネルギーとして消費し続けていたからです。
当然、血液検査をしても、血糖値やヘモグロビンa1c値は正常です。
体質も大幅に変わりました。試しにご飯を食べると、お茶碗2杯目あたりで頭がボーッとするほどで、
糖質が合わないタイプに変わったようです。もう1年以上にわたって、あれほど好きだったチャーハン、
丼ものを一切食べていません。
そして運動も欠かさず行い、3ヵ月で10kg痩せました。昨年の5月末に72kgあった体重が、
同年9月初旬までに62kgまでに落ちたのです。
私の身長が168cmであるため、身長1.68(m)×身長1.68(m)×BMI=Body Mass Index標準値22
という計算式で計算しても、まさにBMI標準体重の62kgとなります。現在もリバウンドはありません。
糖質制限で、ダイエットにも成功したわけです。今では、40年ぶりに「Mサイズ」が合うように
なりました。
しかし、ダイエットにも効果があるからと言って、糖尿病に縁のない人まで、糖質制限することを
薦めているわけではありません。
Speakers講師の一人である、免疫学者の藤田紘一郎氏は、人間の体のエネルギーを生み出すエンジンは、
「解糖エンジン」と「ミトコンドリアエンジン」に分かれると説明。
そして、若年層は糖分を燃料とする「解糖エンジン」が主体、50歳を過ぎたあたりから、
酸素を用いる「ミトコンドリアエンジン」がメインとなるとしています。
つまり若い世代が、エネルギーのメインである糖分を控えることは、必ずしも適切ではないと
考えられます。
また、同じくSpeakers講師の生物学者・池田清彦氏も、「医者が示す健康の目安は、あくまで
様々な人の平均値であり、その人にとってふさわしい数値ではない」としています。
それぞれの体質の違いもあれば、夜勤の多い生活・労働環境の人、デスクワーク主体の人と
肉体労働者では生活習慣が異なるため、おのずから、健康法も違っていて当然です。
それに、糖質が含まれないからといって、肉類を過剰に摂取すると、高脂血症や高い尿酸値を
示す可能性も考えられます。
牧田氏も、糖尿病関連本以外に、糖質制限を応用したダイエット本を上梓していますが、
糖尿病の予防・治療を目的としたダイエットであるべきでしょう。糖質制限に対して妄信的にならず、
あくまで、糖尿病予防・治療に関することだけに、留めておきましょう。
書店には、糖尿病関連本が数多あります。そのなかでも、本書ほど重要なエッセンスがコンパクトに
分かりやすくまとめられた本はないといっても過言ではありません。まさに、真の糖尿病予防・治療の
魁となった一冊です。
一般の内科医と、牧田氏のような専門医では、炭水化物、糖質に関する見解がまったく違います。
もし、真剣に糖尿病と向き合うのであれば、必ず牧田氏をはじめとする糖尿病専門医の診断をうけたり、
講演を聞いたりして治療に向き合い、生活習慣を根本から改めるようにしましょう。
Speakersでは、本の内容のさらなる詳しい話をお聞きになりたい方や、関連したジャンルの講義を
聴きたい方のために、講師として、藻谷氏をはじめ様々な専門家にアプローチをして、
講演のマッチングをしています。
『糖尿病は―』をお読みになった方で、牧田氏のファンになりぜひ会いたい、本に書かれていない話が
聞きたい方をはじめ、牧田氏に直接質問してみたい方など、お気軽にお問い合わせください。
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