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NO.009 浦上俊司氏-営業スキル・商談 ー

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現役営業パーソンである講師が語る“商談の極意”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

営業活動の成果を決する3要素

 

私は営業を始めて27年目になります。
今まで様々な商品をお客様にご提案いたしました。
それは法人のお客様へ定期訪問によるルート営業だったり、又ある時は個人宅のお客様に直接訪問する新規開拓だったり、とにかく沢山のお客様との出会いがありました。時にはお叱りを頂戴して悔し涙を流した経験も、又お客様と手を取り合って喜びと感動の涙を流した経験もありました。全てが長い目で見れば有難い学びの連続だったと思います。その学びが血肉となって今の私という営業パーソンを作ってくれています。

 

 

 

そんな中、ここ数年前から実感しているのが、スポーツとビジネスの共通点です。前者では勝利のためには「心・技・体」の充実と言われます。これは後者に置き換えても見事に共通し、「マインド・スキル・人柄」となります。マインドとは、自分が取り扱っている商品に対する絶対の確信を指し、‘うちの商品は必ずお客様の問題解決に役立つのだ!’との強い心構えです。そしてスキルとは、クロージングまで円滑に運ぶ商談の技術を指します。商談中のお客様の心は常にユラユラと揺れ動きます。‘この営業パーソンが言っている事は本当だろうか?’という疑いの心、‘今決断すると将来的には後悔するのでは?’という迷いの心、‘他にもっと良い商品があるのでは?’という探求の心、これら全てをクリアにし気持ち良く契約まで導いていくのがスキルです。そして人柄とはまさしくその営業パーソンの人間性を指し、表情や言葉から伝わる印象でジャッジされます。営業にはスポーツで求められるような、早く走る脚力やボールを遠くまで投げる腕力は不要です。しかしその代わり人柄についてはシビアに見られるという点で、まさに営業は人生道場そのものといえるかも知れません。

 

 

 

 

営業パーソンの存在価値とヒアリングスキル

 

私は営業パーソン研修で受講生の方々と共通認識を得るため最初に虫食いのクイズを出します。
営業パーソンの存在価値について、「営業という職業は( ●●●)というお客様がいるからこそ成立する職業である」と。

皆様ならどのような言葉が入ると思われますか?
実際に発表して頂くと最も多い意見が、(買いたい)というお客様だとか(欲しい)というお客様、このニュアンスで答える方が多いのです。しかし私が思うには、少し意地悪な言い方になりますが正解は逆だと思っています。つまり営業という職業は(買わない)というお客様がいるからこそ職業として世に成立しているのです。全てのお客様が買いたいとか欲しいとかばかりだと、なにも営業パーソンは必要なく、ただの配達アルバイトでも売れてしまうわけです。つまり、営業パーソンという職業にプロとしての誇りを持ちたい、営業職は選ばれし専門職であるとのプライドを抱きたいのです。これこそが営業パーソンの存在価値と言えるでしょう。皆さまはどうお感じですか?

 

 

では具体的な商談方法に入ります。
商談の初期段階で営業パーソンがやるべき仕事はヒアリングですが、この目的は「潜在ニーズを顕在ニーズに育てる」という命題に向かっています。つまりニーズを顕在化する方法には魔法の特効薬はなく、根気よくヒアリングしていくしかありません。しかし営業パーソンが自分勝手に思い描く都合よい答えがお客様から返ってくる事は極めて稀で、ほとんどの場合、雑談へと話が脱線し予期せぬ方向へ話題が暴走していくのが日常茶飯事です。それを最小限に食い止め、必要な情報を聞き漏らさずヒアリングするには5つの不を意識することがコツなのです。具体的には「今まで使っていて不便に感じた点はどのあたりか?」「今まで不快に思って嫌な気分にならなかったか?」「今まで不満を抱いた経験はないか?」「これから先、不安を覚えていないか?」「このままだと不経済なので、もっと安くできないか?」。このように過去に目を向けたり未来を予想したりしながら5つの不を軸として聞いていく、そして同時に不の優先順位を立てる、更に我が商材に切り替えて頂ければ、この不が取れた状態(問題解決した状態)を提供できる、このあたりをイメージしながらのヒアリングが大切です。お客様の不便を便利にする営業、不快を快適にする営業、不満を満足に変える営業、不安を安心へと変える営業、不経済を経済的という節約効果を提供する営業、これらが商談の勝ちパターンと言えるでしょう。

 

 

 

 

 

一流営業と二流三流営業の違い

 

世の職業には一切の貴賎はありません。しかしどの職業にも一流二流三流が存在します。
当然営業の世界にも同じことが言えます。一流と言われお客様から信頼される営業パーソン、二流と言われ可もなく不可もない評価を受ける営業パーソン、三流と言われクレームを自ら呼び込む杜撰な仕事をする営業パーソン、まさに競争社会においては厳然とレッテルを貼られるのが現実です。その違いは何だと思われますか?沢山の要素が考えられますが、その中でも決定的な違いは商談中の話材ではないかと思います。話材という単語を定義するならば「その商材のどこの部分にスポットライト(焦点)を当てて説明するか」となります。この話材の選び方や使い方によって、商談中にお客様が前のめりにグイグイ乗ってくる一流商談になるのか、はたまた商談の途中からお客様が興味無さげな表情を浮かべ、心ここにあらずという態度になり、仕方なく営業パーソンの方から「また改めてお伺いします・・・」と逃げ出すように退散する三流商談になるのか分かれます。

 

 

私はこの話材を大きく3 種類に分けています。一つは特徴だけに焦点を当てて説明する三流商談の話材です。特徴とは「他には無いこだわり」を指します。これは一見すると商談本来の姿に思えるかも知れません。しかしよく考えてみて下さい。他には無いこだわりというのは、あくまでも営業パーソン目線であってお客様目線に立ってはいません。もちろん、商談はライブ(生中継)ですから何が起こるか分かりません。ひょっとしたら、たまたま営業パーソン目線とお客様目線が奇跡的に一致し、三流商談でも一発受注になる可能性もあります。しかし多くの場合、両者の目線には大きな差があり、ヒアリングによって慎重にお客様目線を見極めた上での商談でないと、気合いだけ空回りして結果は撃沈となる落とし穴が待っています。では二流商談の話材とは何か、それは利点に焦点を当てて説明する商談です。利点とは「特徴が生み出す効果」を指します。もっと平たく言えば「買った後に訪れる幸せ」という事です。お客様は他には無いこだわりよりも自分にどんないい事が起こるのか、そこに興味を抱いているものです。だから利点を話材にした商談は、お客様に専門知識がなくても理解して頂けますしイメージも膨らむと思います。ただ、これがお客様の不(お困り事)に合っているかどうかが重要です。外れていた場合は、‘説明上手な営業パーソン’という評価はゲットできるでしょうが受注というご褒美は頂けません。では一流商談の話材とは何なのでしょうか?これはぜひ講演でお伝えしたいと思います。お会いできる日を願って・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ストーリーでよくわかる! 新規開拓営業の鉄則
著者:浦上俊司(クロスメディア・パブリッシング /2012/2/14)

 

浦上俊司(うらがみしゅんじ)
浦上俊司(うらがみしゅんじ)
研修講師/セミナー講師

フリーのセミナー講師として全国各地、北海道から沖縄までを飛び回る。現在、企業向け研修(営業パーソン研修、モチベーションアップ研修etc.)、各種セミナー、講演など多方面に活躍中。

 

 

 

 

 

 

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